「もしも起業したいと言われたら」 知識労働職からの助言40プラスワン
タイトルは私の愛しているドリフのコントじゃないですよ。最近はいろいろあってデータサイエンティストに対するモチベーションがゼロです。そろそろ燃え尽きそう。ほんと書き続けられる知力体力のある方を尊敬します。
起業もそうですよね。あらゆる理由で、決して燃え尽きてはいけない行動と言えるでしょう。だから私には無理です。すぐ燃え尽きます。何度も繰り返し。
その何周目かには株や金融ネタのアフィリエイトやネット広告媒体契約なんかで、家賃くらいは稼いでた時期もあったんですが、それもサブプライム暴落にて、やる気もお財布も力尽きました。まあ年収級の銭を溶かして笑いものになりながらブログまともに書ける奴なんてまずいないわけですけども。Yahooと楽天なにしてくれんのよ。
斯様に体たらくな自分にとっては、社長になるなんて降格に等しいのです。けれども今は、リスクとリターンにあまりトレードオフを感じない不確実性の時代です。創意工夫次第で、稼ぎだけならなんとかできるくらいの機会は、日本にはまだ落ちています。そこだけはポジティブです。
そういう偏った認識のこんな私でも、起業の相談をされることがあります。あれこれ痛い目にあっているからなのか、私に相談する時点で目が曇っているんじゃないのとも言えますけども。
では、古いつきあいの友人Qから相談されたようなので、よってたかって、いろんな人からアドバイスをもらってみましょう。
Q「起業しようと思うんだけどうまくいくだろうか」
プライベート
父
「お前が決めた道なら止めはしない(失敗して頼ってきたら困るなあ)」
母
「そんなこといって失敗したらどうするんだい(案外うまくいくかもしれないわ)」
友人
「お金、貸してやるけど幾らまでだからな。がんばれよ。」
産
ベンチャーの社長(ネガティブ)
「大変だよ。やってみないとわからないことだらけだ。ほんといろいろ起きるよ」(くたびれた顔で)
ベンチャーの社長(ポジティブ)
「まかせてくれ。先輩としてアドバイスをしてあげよう。それには僕を取締役にすることだ。それとも増資がいいかい?」(テカテカした顔で)
中途半端な役員
「僕を取締役にするとこんなに得だよ、きっと君の損にはならないと思う、監査役でもいいよ」(上目遣いで)
ベンチャーキャピタリスト
「なぜ?何を?事業プランは?収益計画は?デューデリしてほしい?・・・で、株いくら交換する?」(仏頂面で)
ベンチャーキャピタルのトップ
「2012年度のVCによる投融資額は約1240億円と米国の約19分の1なんだよ(市場小さいんだよな)」
エンジェル投資家
「ベンチャー業界が活性化してほしいので私のお金を役立ててください。(ぶっちゃけ目をつけられてて使い道ないんですわ)」
競合他社
「うちの業界は厳しいよ。まったく入るチャンスもないわ。やめといたら。」(長い悲惨自慢の後で)
MBA国内
「なぜお前じゃなきゃダメなのか、リーダーとしての適正はあるのか」(燃えたぎる視線で)
MBA海外
「本当に成功したいのなら世界を狙うべき、だから最初から海外にオフィスを作ろう」(あさっての夢を抱いて)
大企業の偉い人
「それは弊社にどれくらいの利益をもたらすのか?弊社が担ぐ商品としてふさわしいのか?」(数字しか興味ありません)
某元社長
「利益率の高い商売、在庫をできるだけ持たない商売、月極めで定額の収入が入る商売、大資本の要らない商売」(お元気そうでなによりです)
マーケッター
「~~っていうサービス知っている?あれ良いと思うんだよね。市場も~くらいあるんだよ。やらなきゃ他社がやっちゃうよ。」
統計屋
「1年以内に過半数が倒産し、5年以内に80%が消え、10年以内に95%が倒産するよ」
データサイエンティスト
「まず君の事業をモデル化してみよう。市場の需要と、財務状況は数値化できるかい?できたら1万社のデータがあるからシミュレーションしてみようか」
コンサルタント
「PDCAサイクルが重要です。このマトリックスではあなたは競争優位にいたりいなかったりします。」
自己啓発屋
「起業家が読むべき~~を見ましたか?お金の貯まる仕組みや~の行動は~ですよ。けれど、そうしたからといって成功できるほど甘いものではありません。」(お決まり文句)
FP&アクチュアリー
「起業するあなたの進む道にはこんなリスクあるのです。そのため保険と年金などの生活設計が重要です」(とりあえず商売しておくか感)
「正直、最初のうちは頼ってほしくないね、成長したら強引に貸し付けにいくから待っててね」(豹変っぷりをアピール)
営業
「売れるかわからんもんは売りたくない。それ売れるの?売れるなら売るよ」
エンジニア・現実派
「作りたいのはそれだね。で、俺を引き抜きたいなら幾らくれるの」
エンジニア・ライフハック派
「事業開発にもアジャイル活きると思うんですよね、ブレストしましょうよ」
エンジニア・絶望派
「クソみたいな職場から出られるならなんでもいいけど、ところで、あんたはクソじゃないよな」
エンジニア・求道派
「俺は俺の道がある。道が重なったら手伝ってやってもいい」
エンジニア・外人
「ヤトッテクレタラ、在留資格ガ、モラエマスカ?」
税理士
「会社は最初から経理が重要です。私らが顧問をやってあげますよ。」
弁護士
「契約書の読めない人は起業しちゃいけませんよ。最初から私が手伝いましょう。」
社労士
「従業員の働きやすくするために最初から、略」
医者
「初期のベンチャーではストレスで内臓疾患にかかる傾向が高いから気をつけたまえ」
占い師
「あなたは必要なときにお金がなくて苦労するかもしれません」
学
大学教授
「うまく成功したら先輩紹介とかパンフレットに使ってあげるよ、あ、共同研究と研究費もよろしくね。」
「できればあのその私も手伝ってもよかったりしたらいやその働きたいんですよね」(島抜けを控えめに希望しつつ)
学生・女
「ヤクザな仕事はお断りします」(就活後は気持ちが変わります)
学生・男
「社長っすか。すげー、自分もあこがれているんです。」(乾いた目で)
大学TLO
「その技術は大学で研究してたものじゃないんですか?」
官
役所
「安倍首相はベンチャーファンドに出資する企業の税制優遇措置を打ち出しているので今しばらくお待ちください」
政治家
「君のところの技術はどれくらい注目されると思う?いかに世間の評判(票)に貢献できるのか説明してくれないか」
「なんでもいいけど、大学発ベンチャー1000社計画とか、情報大航海とか黒歴史を参考にするのはよせよ」
「ICTベンチャー向け技術評価制度の開始してるんで受けてみませんか。何に使えるか私らもよくわかっていませんけど。」
「あー法科大学院の惨状が(略)」
「未踏プロジェクトいかがすか。最近注目されないんですよね。つこうた、から風当たりは強くてね」
助言が 40でもなくてごめんなさい。これは有望な起業の場合です。これくらいも言われないとしたら期待されていない(協力してもメリットがない)のです。気付きましょう。期待されないと動きやすいメリットもありますが、そもそも資金調達で苦労します。
これと似たような展開の話を聞けている方なら、かなり期待されていると思います。ただし、ご覧のとおり、各人の欲望の最適解がすべて違います。これらステークホルダーの最適解を解くなんて不可能です。まさに次元の呪い。聞けば聞くほど、調べれば調べるほど、細分化して、達成すべき目的が異なって、わけがわからなくなっていきます。無限に知識は拾えるけれども、あなたの記憶も判断力も人付き合いも資金も時間も有限なのです。
私は、私なりの最適解として、いつも、こう言うことにしています。
私
「勝てばすべてよし。もし負けても、友達はやはり友達だよ。そして、敵もやっぱり敵だ。世界は何も変わらない。」