ネガティブにデータサイエンティストでもないブログ

経済統計屋。気分悪くなったらごめんなさい (´・д・`) ゴメンネ データサイエンティストという呼称が好きじゃないんです https://twitter.com/dscax

シネマアナリティクス2 : 過酷なソリッドシチュエーション、密室系マイナー映画の佳作5つ(洋画編)

前回 シネマアナリティクス : ゼロから分析力を磨きたい人に観てほしいマニアック映画5つ(洋画編)

http://negative.hateblo.jp/entry/2013/09/11/153406

 

お隣さんがウィルコクソンの順位和検定とマンホイットニーの順位和検定の違いについて熱く議論していたので、横からWilcoxon-Mann-Whitney検定は?と聞いたら、あっちへいけと言われました。なんとも過酷な職場です。世知辛い職場事情さておき、そこで今回は、こんな過酷な場所は嫌だという感じのソリッドシチュエーションな映画を紹介します。

 

映画ネタは別でやっとけよという話なんですけども、一応、このブログでそれをやる目的もあるのです。いずれ明らかにします。前回は、まとめ系ネットワークの勧誘だったり、無料で寄稿をお願いされたりと。でもそれはもう通過した道なんで、その節は、やる気がなくてごめんなさいね。私は店長がおごってくれる程度で十分です。アフィリエイトとか広告とかどうでもいいです。というほど達観しているわけではもちろんないので、本ブログに限ります。

 

分析が大好きなんて言う若気ないたりな方でも、もう10年以上も常態化したら、誰でもイヤになります。短期では「好きを仕事にする」のはやぶさかではありませんけど、長期では、好きごときの力だけでは仕事を続けることはできません。

 

そこで

気力はある。余力がない。それでも前を向く。

という名キャッチを拝借すれば

 

 

余力はある。気力がない。それで後ろを向く。(で、映画を見る、ゲームする)

 

 

仕事疲れにとって、映画とはカロリーの伴わない心身の回復手段というわけです。

これは経験談ですけども、そんなときポジティブな前向き映画はオススメできません。「俺もがんばらなきゃ」「あいつのようになってやる」「今度試してみよう」・・・すべて、さらなる、やる気と気力を要求されることウケアイです。スティーブ・ジョブスの成り上がり伝説を見て、返ってどんよりしてしまう感じ。「いや無理だよ」「どうせ俺なんてさ」と反動がやってきて、現状の解決できない不満や不安が増幅して、不貞寝や自棄食いして後悔するくらいなら、そんな前向きなの見ないほうがいいんですよ。

 

で、そこで登場するのがネガティブな気持ちになれる映画です。ざっくりいえば過酷な問題をつきつけられてアタフタする系の密室ドラマ、SF、サスペンス、ホラーあたりですね。その酷い状況やプレッシャー、不可解な状況にさらされる登場人物を見て、「あれよりはマシだな」「どうしようもねえ世界だな」「それに比べたら俺の苦労は幸せなほうさ」(←会社の思うツボさ)って思えることって大事なんですよ。

 

そういう意味で今回は、決められた状況設定というソリッドシチュエーションという映画をご紹介します。密室モノ、限定空間、箱庭劇です。その多くは、低予算のアイデア一発勝負という趣もあって新進気鋭の監督の登竜門で企画をひねったものが多いです。

 

こういう映画で、こういう問題設定があったとき、自分ならどうする?を考えるのも頭の体操とリラックスに良いと思います。ありえない展開すぎて登場人物にがっかりしたり、自分ならすぐゲームオーバーだったわとか、その展開はやっぱり予算の都合なの?とか脚本家は風呂敷を畳めなかったんだとか、映画という世相と離れたことを、あれこれ邪推するのもストレス発散になったりしてね。

 

このジャンルには大御所というか定番映画にはCUBE(2、0は微妙)やSAW(2以降は好きな人だけ見ればよし)とかがあるんですが、それをオススメしても普通すぎるので(他にESとかリミットとかフォーン・ブースなども)広く劇場公開された有名作品は除外しました。それ系の好きな方、冬の夜長にまったりハラハラ息詰まった感じになってみたい大人向けに、ソリッドシチュエーションの佳作(名作というほどではないけれども)映画5つほど、余計なお世話な感じで、ご紹介させていただければと思います。

  

 

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第1位 アリス・クリードの失踪

錯綜する心理戦 

 

解説: 『ディセント2』などで脚本家としても活躍する新鋭、J・ブレイクソンが初監督を務めたクライムサスペンス。ある誘拐事件の犯人たちとその被害者が繰り広げる、人生を懸けた究極の心理劇を映し出す。タフなヒロインを、『007/慰めの報酬』のジェマ・アータートンが熱演。誘拐犯役の『シャーロック・ホームズ』のエディ・マーサン、『SWEET SIXTEEN』のマーティン・コムストンらと真っ向からぶつかり合う衝撃のドラマに目がくぎ付け。

 

あらすじ: 刑務所仲間のヴィック(エディ・マーサン)とダニー(マーティン・コムストン)は、着々と誘拐の準備を進めていく。新聞でダーゲットを富豪の娘アリス(ジェマ・アータートン)に決めた2人は、白昼堂々彼女を路上で連れ去る。アリスは準備されたアパートの一室に運び込まれ、ベッドに両手両足を縛り付けられ身動きが取れなくなる。

 http://info.movies.yahoo.co.jp/detail/tydt/id339380/

 

三者三様の人間模様。個人的にも好きな映画の一つです。途中から密室劇でもなくなっていますが、登場人物が3人しかいないのでとても箱庭感あります。特に、この映画の抱える問題というか、問題が問題を呼びおこすネガティブスパイラルな脚本が秀逸でして、人間の抱える上っ面と、内に秘めた思惑の違いといいますか、隠されたものを明らかにせざるをえない状況を作り出せています。実社会では利害対立は茶飯事ですが、あれこれ振り向いてばかりいると、どうなってしまうのか、折り合いはつくのか、そういう振る舞いをする劇中の登場人物への好感度は大人の合わせ鏡のようにも思えます。百聞は一件に如かず、でオススメです。

 

 

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第2位 YES/NO イエス・ノー

結婚に関する仮想実験

 

解説: 『[リミット]』『ATM』などを手掛けたプロデューサー、ピーター・サフランが名を連ねたシチュエーション・スリラー。別々に密室へと監禁された夫婦が、見知らぬ者からの異様で不条理な詰問を受けていくうちに、隠されていた本性が暴かれ、お互いへの思いが試されていく。監督はイタリア出身の新鋭、エンリコ・クレリコ・ナジーノ。テレビドラマ「デクスター ~警察官は殺人鬼」のジョン・ブラザートンらが出演。謎が謎を呼ぶ先読み不可能な展開もさることながら、極限状況下に置かれた夫婦の愛と絆をめぐるドラマにも手に汗握る。

 

あらすじ: ドアも窓もない不気味な密室で目を覚ましたジャック(ジョン・ブラザートン)。自ら部屋に入ったのか、誰かに連れられてきたのかもわからずに混乱する中、彼は壁にイエスとノーを意味するYとNが記されたボタンを発見。さらに、壁一面に自分と同じような部屋に閉じ込められている妻ケイト(エレンホルマン)の姿を捉えた映像が映し出される。やがて、夫婦それぞれに見知らぬ人物から「ジャックを愛していますか?」「ケイトは浮気をしましたか?」などという質問がぶつけられ、ボタンでの回答を迫られる。

http://info.movies.yahoo.co.jp/detail/tymv/id345251/

  

上辺だけのつきあいで結婚してしまった男と女に真実を問う過酷な質問が繰り返されます。監督の前作ATMより熟れて安定しています。偉大な師の含蓄ある意見ですが「能力とは、期待値の話であって、成功確率の話ではない。仕事をうまく運びたいのなら、良い家庭を築いている男を選べ。」というのがあります。なので、この映画の登場人物には仕事頼めないと思いました。登場人物が良い家庭を築けそうに思えません。夫婦だからといってお互いの秘密を完全に共有する必要があるのかどうか。この映画はそういう実験映画です。映画より自分ならどうだろうという視点でどうぞ。

 

 

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第3位 エグザム

ひねりすぎの入社試験

 

解説: 合格すれば死ぬまで年俸1億円という大企業の最終就職試験に残った8人の男女が、壮絶な頭脳戦を繰り広げるサバイバル・サスペンス。密室で80分の制限時間の中、超難関試験に挑む受験者たちを『28日後…』のルーク・マブリー、『ジャンパー』のナタリー・コックスらが熱演する。監督は、本作で長編監督デビューを果たすイギリスの新鋭脚本家スチュアート・ヘイゼルダイン。たった一つの雇用枠を賭けた究極のサバイバルの行方から目が離せない。

 

あらすじ: 合格すれば死ぬまで年俸1億円という大手企業の最終就職試験に残った8人の男女。武装した警備員が監視する密室で、試験監督から3つのルールを告げられ問題に取り掛かろうと用紙を裏返すと、問題用紙は白紙だった。80分という制限時間の中、受験者たちは手を組んだりだまし合ったりして、試験の問題と答えを見つけ出そうとするが……。

http://info.movies.yahoo.co.jp/detail/tymv/id336878/

 

過酷すぎる入社試験に学費かかっていそうなエリート君達が翻弄されます。我こそは超一流の人材だという自己アピールするくせに、使命と待遇が分離しているあたりが二流っぽくて、自己中心的で魅力がまるでないキャラクターに逆にリアリティを感じさせます。プロフェッショナルであるべきところ、口先ばかりの偽エリートを多くみかける私の偏見はさておきまして、人間は口じゃなくて頭と手を動かさなきゃダメですよ。というのがよくわかります。なお、こういう入社試験より、もっとエグい選考が実社会にはあったりするらしいのでご注意ください。

 

 

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第4位 ブレーキ

ありえない機密保持契約

 

解説: 疾走する車のトランクの中で特殊な箱に閉じ込められ、次々と予測不能なトラップに襲われるシークレットサービスの運命を描いたシチュエーション・スリラー。主演を『ブレイド』『SOMEWHERE』のスティーヴン・ドーフが務め、『インセプション』のトム・ベレンジャーが共演。逃げ場のない密室空間、4分ごとにさまざまな攻撃が加えられる状況で主人公がどのように戦い、脱出することができるのか、スリリングな展開に最後まで目が離せない。

 

あらすじ: 何者かによって誘拐されてしまったシークレットサービスのジェレミー(スティーヴン・ドーフ)は、目覚めると、車のトランクに設置された箱の中に閉じ込められていた。箱には恐ろしいトラップが仕掛けられ、デジタル時計が4分を刻むごとにさまざまな攻撃が加えられる。執拗(しつよう)に繰り返される死の恐怖から逃れようとするジェレミーを追い詰める誘拐犯の目的とは……。

http://info.movies.yahoo.co.jp/detail/tydt/id342245/

 

棺に閉じ込められるリミットっぽい映画のようですが違います。物販を除いて会社と会社が結ぶ最初の書類。それは機密保持契約(NDA)でしょう。私はそれに懐疑的な立場です。紳士協定でしかなく効力を感じないところが特に。この主人公(ブレイドではイケメンだったS・ドーフが年を重ねてダメ人間となって好演するのもよい)も、さらに過酷な環境で奮闘します。といっても、こんなブラック企業だったり陰謀に巻き込まれたら誰でも契約なんて破棄するわという話なんですが、あれこれ無理だけどなんとかなっちゃうジョジョっぽい展開が多いので、そういうのが好きな方にオススメです。

 

 

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第5位 ヘッドハント

疑われたら疑りかえす執念

 

解説: 閉鎖されたオフィスに監禁され、自由を奪われた6人の男女が体験する恐怖を描くシチュエーション・スリラー。5回ミスをするとクビ(死)が待ち受ける過酷な状況の中、オフィスを牛耳る男に罪を着せた真犯人を捜し出すという業務を、強制的に命じられた従業員たちのサバイバルが展開。自らの殺人容疑を晴らすため究極の業務を命じる男を、『アブノーマル』のニコラス・ホープが怪演し、特殊メイクをスプラッタ・ホラーの巨匠トム・サヴィーニが手掛ける。

 

あらすじ: 薄暗いオフィスに監禁され自由を奪われた6人の男女の前に、社長のトーマス・レッドマン(ニコラス・ホープ)と名乗る男が現われる。連続殺人犯として投獄されていた彼の無実を証明し、彼に罪を着せた真犯人を探し出すよう業務を言い渡す。ミスをするたびにナイフで額を傷つけられ、ミスが5回になるとクビ切り(死)という過酷な状況の中、6人はさまざまな方法で捜査を開始する。

http://info.movies.yahoo.co.jp/detail/tydt/id343832/

 

これだけ、もろにB級ホラーです。苦手な人は気をつけて!しかし、エグザムとは違ってホラーでないと表現できない隠れた佳作で、企画で投げっぱなしにしていない姿勢が評価できます。濡れ衣から始まる監禁系オフィスワーク。嫌すぎる仕事が続き、失敗したら罰ゲーム、何回かミスったらゲームオーバー、そしてその脱出の鍵はオフィス内にはない。という意図された比喩が社会の縮図です。巻き込まれる小市民にとっては迷惑すぎますが、異常な執念が結果的に実るというのもホラーにしては珍しいメッセージなのです。

 

 

おまけ 次点 +5 作品

 

 

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マインドハンター

http://info.movies.yahoo.co.jp/detail/tymv/id324175/

心理分析官試験な孤島で起きるサスペンスの佳作です。頭の良い感じめな犯人との心理分析官候補のトリック合戦が好きです。バル・キルマーとスレイターはちょい役で弱すぎ。

 

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タワーブロック

http://info.movies.yahoo.co.jp/detail/tymv/id343441/

 

狙撃犯がビルに閉じこもった住民を狙って脱出不能になるサバイバルゲーム。ゲーム感覚な展開が好きな方向け。主人公おばさんの覚醒っぷりが私のツボでした。

 

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TEST10 テスト10

http://info.movies.yahoo.co.jp/detail/tymv/id342353/

 

隠れた佳作。精力全開のイケイケな若者達が巻き込まれる最悪のバイト。薬品試験で人間は羞恥心がなくなるとゾンビと同じ(=欲望のままだから)でしかないというテーマが映画的に深くて最高。惜しむらくは欧米では、クリント・イーストウッドの同名作品にSEO的に消されてしまったのが悲哀。

 

 

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スルース

http://info.movies.yahoo.co.jp/detail/tydt/id329519/

 

密室系サスペンス。旧作のほうが好きですが、やっぱり会話劇、駆け引きだけで楽しめる心理戦は良いです。これもジョジョっぽい展開で脳内再生されてしまいます。

 

 

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パーフェクト・トラップ

http://info.movies.yahoo.co.jp/detail/tymv/id346017/

 

ワナオトコの続編だけどこれだけで見れます。SAW好き(完璧な1を除いた2以降も許容できる)方向けです。なぜか後半になると予算の都合からなのか、男らしい展開も多く、ヒーローは拳で語るのも好感です。

 

 

番外 密室オカルト編

 

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1408号室

http://info.movies.yahoo.co.jp/detail/tydt/id328191/

密室だけどなんでもアリです。次々起きる怪奇現象に、主人公がダメだコリャ連発している長さんに見えて仕方ないんですよね。ということでアダルト版ドリフ認定。

 

 

ということで、私がオススメしたいことは(映画に限らずですが)ようするに

 

後ろ向いて、後退すれば、前進したことになるんです。

 

でも、重苦しいのが苦手だったり、(私はいけると思うけど)そうでもなかったりしたら、ごめんなさいね。