いずれデータサイエンティストの陥るキャリア・プラトー現象
もう何年も、毎日ある統計をやっている人間です。Web見ている間に、もし大損害に気づかなかったら一生分の給与が、と思うと怖くて昼も眠れません。気づくとブログも書き始めてから3日くらいのズレ、私も世間ズレ、中身もズレます。世に戻ったら、ブログ書いてまで言おうとしたことのほとんどはすでに語られていたのでした。
似非データサイエンスと似非データサイエンティストを斬る(海外記事紹介)
http://tjo.hatenablog.com/entry/2013/05/14/193053
和訳も素晴らしく読みやすい記事ありがとうございます。もうすっきり感動しましたよ。ブログやめます。
と思ったけどあと少しだけ。もちろん本物サイエンティストな方にはとても時間も文章も敵わないので、私は私の視点で自戒をこめて。目指す方、もうなっている方、良い勤務先を探している方、このキャリアの現状といずれ陥るであろう傾向をお伝えします。ようするに今後10年、食える仕事「ナンバーワン」って論調に、ただしセクシーに限る、というか相当に対象が限定されているのです。年代別に
- あなたが20代なら なろうと思うな
- あなたが30代なら いけてると思うな
- あなたが40代なら やれると思うな
- あなたが50代なら そして伝説へ
順番に説明しますね。私は何年か前から、様々な職種で年間100件程度、面接してます。少ない標本から特徴を抽出しようと思いますよね。そして、いわゆるデータサイエンティスト的な仕事を希望する方、ざっくり分析関連の技術職と他の総合職の違いを感じてるわけ。
あなたが20代なら なろうと思うな
基本的には今なろうと思ってもかなり難しい。なにをすればなれるか明確ではないから。もうかなりあやふや。上記記事のとおり、Java, Python, MapReduce, R, NoSQLなどなど・・・あたかもデータサイエンティストが、それらのスキルをミックスしたものでは断じてありません。というか本気になったら実はあまり使われません。実際のビジネスでは、それらがなくても同等以上の成果を求めます。例えば真に重大な局面でデータサイズなどから「Rで扱えないからできません」というのは通じませんよね。それは開発者とし今必要かもしれませんが、あなたが主役になれる頃には、それらは必要なくなっています(理由はそのうち)。そして単なるギークなり、計算機科学者なり、ともかく適切な経験を欠いた不適格な人々と一緒に働くことになります。そうなると将来は暗いでしょう。大事なのはビジネスに対する貢献であり失敗と成功の経験蓄積です。ほとんど上記の偉大な記事を引用してます。ごめんなさい。
あなたが30代なら いけてると思うな
ビジネス貢献も分析もできるあなたなら今は良い時代です。自称であれなんであれ、ブーム終焉する数年は職に困りません。しかし真に気をつけるべきは、全能感に支配され、いけてる感を演出しすぎ、あとでセクシーとか恥ずかしいとか自責の念にかられないこと。どんなに賢い人間でも分析や統計では間違いを犯しまくりで、本来とても増長できない仕事です。なお、この年代のインフラエンジニアの方は最強です。張り合っても勝ち目はありません。素直に言うことを聞きましょう。
あなたが40代なら やれると思うな
この年代からは統計解析屋さんと呼ぶほうが自然ですね。分析の限界もわかっているあなた、ビジネスのわかる優秀な方ほど「組織内キャリアは必ず頭打ちになる」と認めたくありません。したがって、この年代前後あたりからキャリア・プラトーに悩むようになります。
「キャリア・プラトー」とは、組織内で昇進・昇格の可能性に行き詰まり、あるいは行き詰まったと本人が感じて、モチベーションの低下や能力開発機会の喪失に陥ることをいいます。
http://jinjibu.jp/keyword/detl/505/
社会的背景、20~30代の経験によってデータサイエンティスト的職には気づくのが遅いです。普通はもう少し早く気づきます。たいていの職は閉塞感に折り合いをつけて働くものだけど、昨今のブームで、この世代の統計解析屋→データサイエンティストですよ的な転職活動は増加しています。だけれども統計解析屋は特別な職ではありませんし、データサイエンティストに現在、正体はありません。賢さの通用しないビジネスやデータを前に、体力的限界を感じたら、あまり分析方向へ傾注しないことを薦めます。
あなたが50代なら そして伝説へ
もう分析に飽きましたよね。世の中のために経営者になるか教職につけたら理想的です。いずれにしても分析だけが、WEBやITだけが、人生じゃありません。リアルに分析視点を必要とする仕事はたくさんあります。あなたの人生は試行1回。分散はないのです。
忘れないうちに自戒をこめて記すわけです。気分悪くしたらごめんなさい。